上高地といえば、河童橋からの雄大な穂高連峰の姿を思い浮かべ、その多くのイメージが春から秋にかけてではないでしょうか?
それもそのはず、年間200万人以上訪れる上高地ですが、その99%以上は春から秋にかけて訪れる人でしょう。理由は冬季は閉山しているからです。冬はマイナス20度になることもしばしば。吹雪となれば厳しい冬の世界となり、雪崩も発生します。そのため誰もが気軽に行ける観光地としては閉山し、バスの運行もありません。

しかし、冬季に入山禁止にしているわけではありません。
冬季入山ルールを守って、きちんとした装備や知識があれば入山可能なのです。
冬季入山ルールはこちら
今日はその冬の上高地の魅力を紹介します。
上高地の名は、現在の安曇野市にある穂高神社の祭神「穂高見命」が穂高岳に降臨したことに由来する「神降地」、この地(穂高神社奥宮・明神池)に祀られていることに由来する「神垣内」または「神河内」から現代表現の上高地になったとされています。

上高地が世界に知られるようになったのは、ご存知の方も多いと思いますが、イギリスの宣教師ウォルター・ウェストンが著書の中で「日本アルプス」と紹介したことに起因します。ウェストン碑が河童橋から徒歩20分、霞沢岳と六百山を望む梓川のほとりにありますね。一度ぜひ訪れてみて下さい。

観光地としては、昭和2年に中ノ湯まで車道が開通したことで発展します。同8年に国道158号線開通、同9年に上高地一帯が国立公園に指定され、翌年には河童橋までバスが運行されるなど、次々と観光地のインフラ整備が進みました。そして現在では年間200万人以上が訪れる観光地、海外旅行者にもとても人気があります。
この記事を書いているYFOも季節問わず、何度も上高地に訪れているのですが、一番好きな季節が冬です。
静寂に包まれた冬の上高地は、まさに神降地、神河内、という名前の由来を感じ、ウェストンが見ていたような(冬に訪れてはいない)風景を見ることができるからです。

上高地だけでなく、多くの自然景勝地の雄大な景色はどの季節も魅力があると思うのですが、観光地化されると人が多かったり、人工物や音により、その魅力に雑音が入るとでもいいましょうか、少しだけ残念に思ってしまうところがあります。
冬の上高地は土日、連休などを除けば、今のところ人に会うのは稀です。土日でも気になるほどの人はいません。静寂に包まれた上高地は自然本来の姿を感じることができます。

朝日に照らされた山々は、まさに神が天上の世界から地上に降り立つような感じを受けます。


早朝、風の穏やかで冷え込んだ日は、上高地一体が霧氷に包まれます。梓川や大正池など水が豊富な上高地だからこその景色で、過冷却の水滴が木にぶつかることで氷に変わり樹木に着氷していきます。その風景は木々に氷の華が咲いたようになり、満開の氷の華の景色は息をのむ美しさ。


美しい景色を見ると、なんだか優しい気持ちになります。
日の光が射し込み出すと、その氷の華が一気に散り始めます。この氷の吹雪がまた美しいんですよね。

風が弱く、そこまで冷え込んでない日(冷え込み過ぎると大正池が凍ってしまう)は、大正池に山々が鏡のように写り、神が作り出す世界はなんて美しいのだろう、思うはずです。

快晴の日はもちろん最高ですよね。空の青が美しすぎて吸い込まれてしまいそう。自分ってなんてちっぽけな存在なんだろうと。

曇りの日や雪の日だって、良さはあります。
シンシンと降る雪は、まさに天使の羽が降り積もるような自然の恵を感じます。


山々が雲に隠れる姿は幻想的。雲のベールに包まれた山が少し顔を出すと、嬉しくなりますね。
上高地で出会う猿は、夏よりも食べ物が少ない厳しい冬の方が活き活きしているように見えます。
「おれたちの場所だぞ、仕方ないから通してあげる」とでも言ってるような感じです。


リス、うさぎ、カモシカ、キツネなど他の動物たちの足跡も雪の上に沢山見れ、普段見れない彼らの生き様が姿を現します。
木々も、一本一本に顔があるような感じに見え、彼らの呼吸を感じます。もしかしたら、目を離している隙に動いているんじゃないかと思うほどなんですよね。


いかがでしょうか?
まさにジブリやロードオブザリングの映画の世界のような感じの世界が広がります。
地球には手付かずの美しい景色がありますが、ここ日本の冬の上高地も秘境感たっぷりで、自然本来の姿を感じることのできる数少ない場所なのではないかと思います。

あまり紹介しすぎると人が増えてしまう、というジレンマがありますが、女将ブログ読者には特別にご紹介しました(笑)
最後にインフォメーション
冬の上高地の入山方法
1.乗鞍高原発のガイドツアーで行く
乗鞍高原拠点のツアーガイドはこちら
2.自家用車で行く
さわんど足湯公園が冬季も利用できる駐車場です。
そのあとは、さわんどから高山行きのバスに乗り、中の湯で下車。時刻表はこちら。
土日であれば、さわんどからタクシーを手配することも可能です。
平日は手配できない場合が多いです。
3.バスで行く
松本と高山間の特急バスを利用して、松本、高山からアクセスして中の湯で下車
時刻表はこちら
冬の上高地入山での注意事項
・必ず上高地冬期入山ルールを遵守してください。入山ルールはこちら。
・登山届けが必要です。
・上高地の冬は観光地ではなく冬山です。
最新の気象情報をチェックし万全な冬山の装備を。
・雪崩や落石の危険があります(冬期入山ルールに危険箇所の記載があります)。
・吹雪の場合は道迷いの可能性もあります。
・ホテル・店舗は全て閉まっています。
・釜トンネル1.3km・上高地トンネル0.6kmは徒歩での通過です。
登り勾配がきついので普段運動していない方には少しきつかもしれません。
トンネル内、出入り口付近は凍結に注意が必要です。
さて、最後におすすめの旅行計画は、乗鞍高原の数日滞在、前泊及び後泊。
せっかくであれば、数日滞在して天気を確認しながら条件の良い日を狙い、Mt乗鞍スノーリゾートでスキー・スノーボード、乗鞍高原内の氷瀑を見に行ったり、バックカントリーを楽しんだりしながら、温泉三昧などいかがでしょうか?
これからの季節は少し気温も上がり、移動性高気圧に覆われる日が増えるので晴天率も上がってきます。今年は暖冬で雪の状態が気になりますが、3月末までは楽しめると思います!!
神の降りる地、上高地で本来の自然の姿に出会う旅を是非乗鞍をベースに楽しんで下さい!!
(YFO)